イグニッションコイルの遮断機能は、エンジン稼働中に1つの気筒の点火を停止させます。回転数と運転音の反応から、その気筒がそれまで点火していたかどうかがわかります。これにより、すべてのコイルとプラグを当てずっぽうで交換するのではなく、失火を1つの気筒に絞り込めます。さらにインジェクターの遮断機能と組み合わせれば、点火系と燃料系を切り分けることもできます。
点火系の問題によくある症状
- 負荷をかけるとエンジンがガクガクしたり息つきしたりするが、アイドリングではほとんど気にならない。
- アイドリングが不安定で、車両がいつもより大きく振動する。
- 雨や洗車のあと、あるいは海水で1日走ったあとに失火が起きる。
- 冬の保管明けにエンジンのかかりが悪く、しばらくしないときれいに回らない。
このような不具合は、一時的にしか現れないことが多いため厄介です。コネクターやプラグキャップの湿気と腐食がよくある原因です。
遮断機能のしくみ
M-JET DIAGNOSTIC のコンポーネントテストでは、イグニッションコイルを気筒ごとに個別に制御できます。正常な気筒の点火を止めると、その気筒の出力がなくなり、回転数がはっきりと下がります。もともとその気筒がきちんと点火していなかった場合は、ほとんど変化がありません。アプリには、お使いのモデルが実際に対応しているテストだけが表示されます。
手順
- 故障コードを読み取って記録し、ライブデータでバッテリー電圧を確認します。
- エンジンを始動してアイドリングで安定させ、ライブデータで回転数を表示します。
- コンポーネントテストで気筒 1 の点火を短時間停止し、再びオンにします。
- エンジンが再び安定して回るまで待ちます。
- 残りの気筒も同じようにテストします。
- 反応を比較し、どの気筒がほかと違うかを確認します。
点火か燃料か:結果を組み合わせる
異常のある気筒が見つかったら、気筒テストと回転バランステストのインジェクター遮断機能で、その気筒をもう一度テストします。どちらの遮断でも回転数がほとんど変わらない場合、その気筒は実質的に働いていません。その場合は、次の原因を順番に確認します。
- スパークプラグを外して確認します。プラグの状態はアプリには表示されません。
- プラグキャップとイグニッションコイルのコネクターに腐食や湿気がないか、しっかり差し込まれているかを確認します。
- コイルが同じ型であれば、疑わしいコイルを正常な気筒のものと入れ替えて再テストします。問題が一緒に移れば、コイルが原因の候補です。
- 点火が正常なのに気筒の力が弱いままの場合は、インジェクターのコネクターを確認し、機械的な原因も考慮してください。ここでは圧縮テストで原因がはっきりします。
コネクター、配線、海水
点火系の問題の多くは、実は接触の問題です。海水や湿気はコネクターを傷め、接触不良のコネクターは停止中には機能しても、振動が加わると途切れます。海水で走行したあとは毎回真水で車両を洗い流し、メンテナンスの際にはコネクターの接続を点検してください。走行中にだけ失火が起きる場合は、計測走行を記録し、あとから数値を確認してください。
安全上の注意と限界
イグニッションコイルの遮断機能は、診断専用です。遮断は必ず短時間にとどめ、メーカーの指示に従ってください。安定した電装系の電圧は必須です。バッテリーが弱いと結果が狂います。シートを外さずに Sea-Doo を充電する方法は、シートを開けずに Sea-Doo のバッテリーを充電するで紹介しています。このテストでは規定範囲付きの計測値は得られません。その価値は気筒同士の比較にあります。
よくある質問
すでに故障コードが出ています。それでもテストは必要ですか。
多くの場合、必要です。故障コードが示すのは回路であり、部品の故障を直接示すわけではありません。このテストは、コイル、コネクター、配線のどれに問題があるかを判断する助けになります。コードの正しい読み方は、BRP および Rotax 車両の故障コードを読み取るで解説しています。
アプリでスパークプラグを点検できますか。
いいえ。アプリでわかるのは、気筒が反応するかどうかです。プラグの状態は、取り外して初めて確認できます。
このテストはすべての BRP 車両で使えますか。
Sea-Doo、Can-Am、そして Rotax エンジン搭載のジェットボートで、各モデルがこの機能に対応している範囲で利用できます。