FX140 や初期の FX HO のエンジンがかからない。対象は2002年から2008年の FX140 と FX1000、FX1000(A)、FX1100 で、いずれも MR-1 の4気筒エンジン(998 cm³ または 1052 cm³)を搭載しています。これらは2気筒ごとに1つのイグニッションコイルと4本のインジェクターを備え、電子スロットルバルブはまだありません。そのため、正しい順番で進めれば故障探しは分かりやすくなります。むやみに部品を交換すると、週末の半分があっという間に消えてしまいます。時間を区切ることも大切です。スターターを数秒以上回してもエンジンが点火しない場合は、バッテリーとスターターを傷めないよう休ませてください。
ステップごとに
- バッテリーと充電系統を点検します。弱々しいスターターやちらつく表示は、エンジンではなく電圧の問題であることがよくあります。バッテリー電圧はライブデータに表示され、ECU ではコード25に該当します。FX140 では、腐食したレギュレーターが原因で警報と始動不良が起きたケースが報告されています。
- 何かに手を付ける前に、故障コードのメモリを読み取ります。始動に関係するのはコード19(パルサーコイル)、36(カムシャフト)、71(転倒スイッチ)です。FX1000(A) と FX1100 では、バイパスバルブモーターを示す 84 が加わります。パルサーコイルの信号がなければ点火火花は出ず、ECU がそれを教えてくれます。
- イグニッションコイルを個別に作動させます。コイルは2つで、気筒はペアになっています。1番と4番、2番と3番です。コイルが1つ故障すると必ず2気筒が同時に欠け、エンジンの回り方で分かります。
- インジェクターを個別に作動させます。4本あり、各気筒に1本ずつです。部品テストで反応するかどうかを音で確認できます。
- 燃料ポンプを作動させます。
ポンプが一番怪しいと思っても、この順番を守ってください。電圧とパルサーコイルの確認は2分で済みますが、ポンプの交換にはずっと時間がかかります。
ポンプテストで分からないこと
ポンプテストでは、ポンプが作動しているかどうかを音で確認できます。どれだけの量を送っているかは分かりません。回ってはいても十分な圧力を作れないポンプは、テストに合格しても問題の原因であり得ます。ほかがすべて正常なのにエンジンがかからない場合は、吐出量をチェックリストに加えてください。
燃料系統で作業するときは、換気の良い場所を選び、近くに火気を置かず、工具や充電器から火花が出ないようにしてください。
M-JET Diagnostic が役立つところと役立たないところ
M-JET Diagnostic はこれらのシリーズに対応しています。アプリはモデルを自動で識別し、お使いの艇に備わっている機能だけを表示します。初期の ECU ではコードの数は少ないものの、部品テストと電圧値だけでもかなりのことが分かります。分からないのは、スパークプラグの状態(外して目で確認します。その際ねじ山を傷めないように)、圧縮低下、そしてコードの出ない、水で腐食したコネクターです。
個別テストの詳細はイグニッションコイルとインジェクターの点検で紹介しています。
空のメモリが何の証明にもならない理由
これらの艇では、コードは少ないのに考えられる原因は多くあります。初期の ECU が記録するのは、自ら計測できるもの、つまりセンサー回路、電圧、転倒スイッチだけです。付着物のあるコネクターや、振動したときだけ途切れる接触不良は、そこには出てこないことがよくあります。まさにそのために個別テストがあり、指令が部品まで届いているかを確認できます。テストで1本のインジェクターが反応せず、ほかの3本は反応する場合、故障はそのインジェクターかそのコネクターにあり、ほかにはありません。
すべてカチッと鳴るのに、それでも動かないとき
両方のコイルペア、4本すべてのインジェクター、ポンプが反応し、電圧も正常でメモリが空なら、残るのは機械的な原因です。燃料の品質、ポンプの吐出量、圧縮です。ここでアプリの役目は終わり、整備工場の出番になります。それでも、読み取ったメモリとテスト結果があれば、工場での最初の1日分の調査を省くことができ、同じ部品を二度点検する必要もなくなります。